今日は、いま居住中の国、ベルギーの言語についてあれこれ考えていきます。
今後ヨーロッパへの移住を検討されている方や、ベルギーと周辺国を比較したい方、また旅行でベルギーに寄るかもしれないという方に役に立つ内容でしょう。
内容は、完全に私の独断と偏見であることをご了承ください。
ベルギーの4つの地域
さて、ベルギーを語るにあたっては、まず住んでいる地域から明かさねばなりません。「地域」とは、日本でいえば関東地方などの「地方」だと考えればよいでしょう。
ベルギーには、フランデレン地域、ワロン地域、ドイツ語地域、ブリュッセル首都圏の合わせて4つがあります。
(※ちなみに「フランデレン」には、フランダース、フラマン、フレミッシュ(どれも同じ地域)などの呼び名も存在しますが、ここではフランデレンで統一します。)
さて、人口ですが、フランデレン地域が59%。ワロン地域が40%。つまりこの2つでほとんどの人口を占めています。
ドイツ語地域は1%で、雀の涙ほどの人口しかいません。なんとなく、ベルギーではオマケみたいな印象です(ドイツ語圏の人ゴメンナサイ!)
それぞれが話す言葉は、
フランデレン地域:オランダ語(ただしブリュッセル首都圏を除く)
ワロン地域:フランス語
ドイツ語地域:ドイツ語
と分かれています。
異色のエリア?!ブリュッセル
ブリュッセル首都圏は、フランデレン地域の真ん中下あたりに包まれるように位置しており、フランデレン地域の一部なのですが、フランス語が優勢という異色のエリアです。
基本はフランス語で話すようですが、ブリュッセルには外国人も多いので、初めの挨拶(Helloなのか, Bonjour なのか)や雰囲気で相手の言語を見極めてから、英語、オランダ語、フランス語を使い分けているそうです(器用ですねぇ…)。
ちなみに私はフランデレン地域のゲントという街に住んでおり、ここはオランダ語圏です。
私の地元のベルギー人(フランデレン人)は、
「ブリュッセルはフランダースの一部なのに、オランダ語を話さない奴が多い」とグチをこぼしていました。
オランダ語とフランス語が入り乱れる国
例えば、電車でうちの街から30分、ブリュッセルに着くと話される言葉は、オランダ語→フランス語に変わっています。
同じ電車で15分、次の街ルーベンに着くと、今度はフランス語→オランダ語に戻っています。
ベルギーではそんなことがしょっちゅう起こります。
はじめは混乱するのですが、これはこれで住んでいれば成り立っていくのがベルギー人の懐の深さなのです(笑)
さて、話を戻して。
フランデレン地域はオランダ語圏なので、当然ですが、標識や市役所の書類などは全てオランダ語表記。ただし、スーパーなどの日用品はオランダ語とフランス語が併記されています。これは国内での流通をスムーズにするためでしょう。
オランダ語とフランス語の対立
ところで、オランダ語とフランス語って、どれくらい違うかご存知ですか?
「関西と東京の方言の違いぐらいなもんじゃないの?」と思ったらとんでもないのです。この2語は意思疎通ができないレベルで異なります。
英語の「Thank you」は、
オランダ語では「Bedankt」
フランス語では「Merci」
この例だけではなく、オランダ語は、ドイツ語や英語に近い言語だと言われています。
フランス語はラテン語由来なので、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語に近いです。
つまり、オランダ語とフランス語ってあまり似ていないのです(汗)
この「主な公用語が2つの地域にくっきり分かれる」ことは、ベルギーの国内問題に大きく関わってきます。
言語の達人、ベルギー人
ベルギー人を観察していると、3ヶ国語を喋れるのはそこそこ当たり前という印象で(オランダ語/フランス語/英語)、さらにそこから4カ国・5ヶ国語と話す人もいます(多くはドイツ語かスペイン語を選択する印象)
これはベルギー人と話していると、とても羨ましくもあり、コンプレックスを抱くポイントです(私は英語は喋れますが、フランス語とオランダ語はまだまだです)
さて、では英語はどれぐらいの人が喋れるのでしょうか?
英語話者は95%(筆者の印象)
地元のベルギー人を見ていると、英語を話せる割合はほぼ95%ぐらい。つまり、学生からスーパーのレジ打ちの人まで、ほとんどすべての人が英語を喋れる印象です(少なくとも日常会話程度は、、、)。
逆に、英語を喋れないのは一部の外国人と年配者ぐらいでしょう。これは時代や境遇的に、英語教育を受ける機会がなかったからでしょう。
では、英語とフランス語ではぶっちゃけどっちが得意なの?と何人かのベルギー人に聞いてみました。すると、
「フランス語と英語、どちらも喋れるよ!」という人と、
「英語なら喋れるよ(=フランス語は自信ない…)」という人の割合が、大よそ2:1ぐらいという感じです。
つまりは、フランス語も喋れはするけど、英語の方が話しやすい人が多いのです(あくまでフランデレン地域で私が見聞きした範囲の話です)
ただし、「フランス語喋れない」と言ってる人でも、苦手意識があるだけで大抵のことは理解できる人も多いようです。
要は、「喋れる」の定義をどこに置くかは人による、ということでしょう。
やはりここまで英語が優位なのは、
・オランダ語と英語は、比較的近い言語なので学びやすいこと
・小国であるがゆえ、ビジネス的見地から英語が優先されること
・英語のコンテンツ(TVや映画など)に触れる機会が多いこと
などが理由にあるようです。
この傾向(英語重視=フランス語軽視)は、世代が若くなるほどに強くなるようです。もはやベルギーの若者で英語を喋れない人はほぼ皆無と言えるでしょう。
というわけで、今日も私は時々はためらいつつも、英語ペラペラのベルギー人に甘えて生活をしています。
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